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不退去 (消費者契約法第4条第3項1号)
法律
消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、
それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
法律の解釈
@「その住居又はその業務を行っている場所」とは、
当該消費者がその公私にわたる生活に用いている家屋等の場所をいう。
このうち「その(=当該消費者の)住居」とは、当該消費者が居住して日常生活を送っている家屋をいう。また「その(=当該消費者の)業務を行っている場所」とは、当該消費者が自ら業を行っている場合、労務を提供している場合を問わず、当該消費者が労働している場所をいう。
A「退去すべき旨の意思を示した」とは、
直接的に表示した場合だけでなく、間接的に表示した場合でも社会通念上「退去すべき旨の意思を示した」とみなすことが可能な場合も含みます。
直接的に表示した場合
「帰ってくれ」「お引き取りください」と告知した場合
間接的に表示した場合
■当該消費者契約を締結しない旨を消費者が明確に告知した場合
例:「要らない」「結構です」「お断りします」と消費者が告知した場合
■時間的な余裕がない旨を消費者が告知した場合
例:「時間がありませんので」「いま取り込み中です」「これから出かけます」と消費者が告知した場合
■口頭以外の手段により消費者が意思を表示した場合
例: 消費者が、手振り身振りで「帰ってくれ」「契約を締結しない」という動作をした場合
B「・・・から退去しないこと」については、
滞留時間の長短を問わない。
具体例
該当する場合
■高額な教材を購入させられた。中1の子供用の教材。夜中の12時半まで説明を聞かされた。「子供が寝るので帰ってください」と言っても帰らなかった。
消費者が、その住居から退去すべき旨の意思を示した(「子供が寝るので帰ってください」と言ったこと)にもかかわらず、事業者が退去しなかったので、第4条第3項第1号の要件に該当し、取消しが認められる。
■訪問販売で整水器をすすめられ、何度も断ったのに長時間居座り、帰らないので仕方なく契約した。「高血圧、心臓肥大、甲状腺異常、坐骨神経痛等の治療中で医療費がかかり、払えない。余命いくばくもない。」などと説明し、何度も断ったが、5時間近くも居座り帰らないので、体の具合も悪くなり力尽きて契約した。
消費者が、その住居から退去すべき旨の意思を示した(何度も断っていた)にもかかわらず、事業者が退去しなかったので、第4条第3項第1号の要件に該当し、取消しが認められる。
■健康器具の販売で、販売員が自宅で3時間にわたり説明を行った。途中でもう帰ってほしいというそぶりを示したが、結局困惑して購入してしまった。
帰ってほしいというそぶりが、身振り手振りで「帰ってくれ」「契約を締結しない」という動作をする等、事業者にも明確に意思が伝わるレベルのものであれば退去すべき旨の意思を示したことにあたり、第4条第3項第1号の要件に該当し、取消しが認められる。
該当しない場合
■来訪した販売員から勧誘を受け、最初はあまり興味がなかったので「(購入は)考えていません。」と伝えたが、販売員がなお説明を続けるのを聞いているうちに興味が強まり、最終的に納得したうえで購入した。
最終的に納得したうえで購入したのであれば、困惑したために契約したとは言えず、第4条第3項の要件に該当しないので取消しは認められない。
■行政書士講座の電話勧誘があり断ったが、書類が送付されて「契約しないと給料を差し押さえる。」と言われ、契約した。
電話で勧誘することは、住居から「退去しないこと」にも、勧誘をしている場所から消費者を「退去させないこと」にも該当せず、第4条第3項の要件に該当しないので取消しは認められない。
ただし、民法の強迫にあたる可能性や、訪問販売等に関する法律のクーリング・オフ(8日以内)の規定により救済される可能性がある
■健康器具の販売で、販売員が自宅で3時間にわたり説明を行った。途中でもう帰ってほしいというそぶりを示したが、結局困惑して購入してしまった。
帰ってほしいというそぶりが、事業者にも明確に意思が伝わるレベルのものでなければ退去すべき旨の意思を示したことにはあたらず、第4条第3項第1号の要件に該当しないので、取消しは認められない。
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